2007年1月4日木曜日

「日本人は時々狂ったように抽象的なことを言い出す」(塩野七生)



今朝の日経でイチバンの読み物は,なんと言っても塩野七生へのインタビュー。名言の大連発。この9面は保存版ですよ。

女史曰く:
  1. 安倍首相は人間的にはいい人で旦那さまにはいいタイプ,指導者としていいかは別問題。誠意はあるが普通の人なら飽きてしまう。ときには嘘でしか表現できない真実もある。彼は変化球を投げない人。文章の世界では,メリハリや切り返しを芸という。安倍さんは芸がおありでない。
  2. 官房長官に彼と全く違った人間を持ってくるべき。国際会議では彼の言葉をいちいち翻訳していると外国の人は分からないから,練達の通訳が必要。言っていることを半分に縮めないと我が国の国益に反してしまう。
  3. 安倍さんの支持率低迷の原因は演出がないこと。政治はドラマでありケンカ。それが嫌なら官僚をやっていたらいい。
  4. 小沢さんは勝負をしない人だ。勝負をするときに逃げてしまう。どうせ枯れるなら満開にならなければね。
  5. 日本人に違和感を感じるのは「信じすぎ」だと言うこと。民主主義も万全ではない。それなのに民主主義は絶対的な善でそれに任せればすべて上手く行くと思っている。
  6. 政治家は「有権者のニーズを汲み取って」とかなんか言うが,有権者は自分のニーズをはっきり分かっていない。政治家がそれを喚起しなければ行けない。すでにあるものをくみ上げるだけならマーケッティングの専門家に頼めばいい。
  7. 日本は「美しい国」とまでは言わなくても「いい国」になった方がいい。一つ一つ具体的で小さなことを解決して行くべき。日本人はそういうことは意外に上手いのですが、時々狂ったように抽象的なことを言い出すから困るのです。

その通りだ。「美しい国」というスローガンは,抽象的で困るな。なんとでも好きなように解釈できる言葉だ。安倍首相のホントの狙いは「美しい日本を守るために既得権者を守りましょう」ということではないか。もしくは「美しい日本を守るために現状をいじらず何もしないで寝ている総理がいい総理なのです」ということか。

Posted: Thu - January 4, 2007 at 11:31 AM   Letter from Yochomachi   名言(迷言)集  Previous   Next   Comments (18)

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